地震の基礎知識:津波
津波
地震の震源地が海底の場合、津波が発生する場合があります。
全ての海底での地震が津波を引き起こすわけではなく、震源の震度が浅く、断層のずれでの動きによって、海底面が上下方向に動いた場合に津波が発生します。
津波は外洋では、波高が数10cmから3m程度で波長が数Kmから100Kmにもなるので、海面の変化はほとんどありません。
しかし陸地に近づき水深が浅くなると速度が落ちて波高が高くなります。
東日本大震災における津波では、三陸海岸の沿岸部では、津波の高さは、最大15mにも及びました。これはビルの5階の高さになります。
又、遡上高さは40mにもなりました。内陸部の高台だからといって油断は禁物です。
津波の速度
東日本大震災の津波は地震発生から15分で第一波が、更に10分後に第2波が到達しています。
南海トラフ大地震で津波が発生した場合、和歌山では地震発生から3分で到達するとの予想もあります。
津波で被害を受ける可能性がある場合は早めに行動が大切です。
因みに津波の速度は外洋では、ジェット機並みの時速700Km以上になります。1960年のチリ地震で発生した津波はチリから日本まで平均時速750kmで到達しています。
沿岸部の水深の浅い場所では時速数10Kmまで速度が遅くなります。
津波の破壊力
津波は波長が非常に長い為、波というより海水の塊が移動してくるものです。 たとえ、1mの波高でも長さが数キロにも及ぶ海水の塊が押し寄せてきます。 下記の図は通常の高波が防波堤に押し寄せた場合の模式図です。実際の波はもっと複雑ですが、ここでは単純な三角波として表しています。 高さ1mの三角波が防波堤にあたった場合、最大波高は1.4m(√2m)程度になります。想定する高波の高さの√2倍程度の防波堤で波を防ぐことが可能です。
しかし津波は波長が非常に長いため、押し寄せる海水の量は膨大なものになります。10mの高さの防波堤も簡単に乗り越えてしまうことが判るでしょう。
防潮堤は、高波や高潮に対しては一定の効果がありますが、津波に対しては無力です。 津波が発生する恐れがある場合は、何よりも高台に避難することが大切です。
東京湾の津波
関東の津波に関して、「東京湾には津波はこない」「津波が来たとしても大してことがない」と考えている人が大半です。
関東大震災では、相模湾で津波が発生し、被害が出ましたが、東京湾でも津波が発生し、木更津で約1.8メートルの津波が観測されています。
江戸時代の元禄と安政の大地震でも東京で1メートルから2メートル程度、横浜では3メートルから4メートルの津波があったことが記録に残っています。
東京湾でも津波に対する警戒が必要です。
特に、荒川河口付近のゼロメートル地域では防潮堤を越えた津波が大きな被害を与えることが想定されます。