地震後の対応:罹災証明
罹災証明書
罹災証明書は住居の被害やその被害の程度を証明する公的書類です。その対象は住居であり、工場施設や店舗は対象となりません。 大規模災害で家屋が被害を受けた際、被災者が公的支援を受けるためには罹災証明書が必要となります。 罹災証明書とは、建物についての被害状況を調査した上で、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などに分類して発行される書類です。 罹災証明書の発行には期限が設定される場合が多く、又取得には時間がかかることが多いので、災害被害に遭ったら早めに申請をすると良いでしょう。
被害認定基準
罹災証明書の申請を行うと、研修を受けた調査員(市町村の職員等)が、原則として2人以上のグループで、被災した住家に伺い、住家の傾斜、屋根、壁等の損傷状況を調査します。 住家の損害箇所の損害程度とその損害箇所の家屋全体に占める構成割合を掛けた値を損害箇所毎に計算し、その全てを足したものが全体の損害割合になります。
被害認定 | 被害の程度 |
---|---|
全壊 | 損害割合が50%以上 |
大規模半壊 | 損害割合が40%〜50% |
半壊 | 損害割合が20%〜40% |
一部損壊 | 損害割合が0%〜20% |
外観に大きな損壊がなくても、外壁又は柱の傾斜が1/20以上あれば、全壊と認められる等、被害認定基準の認定方法は複雑なので、個人で判断せず、住家の被害があった場合は罹災証明書の申請を行うようにしましょう。
罹災証明書で受けれる支援
義援金
全国及び海外から寄せられた義援金は、被災した自治体から被災者に分配されます。 熊本地震では、全壊で82万円、半壊で41万円、一部損壊(修理費100万円以上)で10万円が配分されています。 この義援金の受け取りには罹災証明書が必要です。
見舞金
自治体や各種財団、団体が独自の見舞金を支給する場合があります。 役所などで手続きができる場合もありますが、ホームページで公開している場合もあるので確認が必要です。 見舞金の受け取りにも罹災証明書が必要なことが多いです。
被災者生活再建支援法に基づく支援金
自然災害によって10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村では、被災者生活再建支援法に基づく支援金が給付されます。 被害認定で全壊の場合は、生活必需品や引越し費用として最高100万円、被災家屋のガレキ撤去費用や住宅ローン利子等として最高200万円が支給されます。
仮設住宅
家屋の修復されるまでの間、仮設住宅や公営住宅に優先的に入居することができます。
税金、国民健康保険料の減免
罹災証明書で税金、国民健康保険料の減免措置がされます。免除額及び条件については、各自治体毎で異なるので、各自治体毎に問い合わせるか各自治体毎のホームページを参照下さい。
罹災証明書の入手方法
罹災証明書申請書の入手と申請
地震や水害などの自然災害による住家損壊の罹災証明書は自治体の役所に申請を行います。
申請書類は各自治体の役所から入手します。各自治体のホームページからダウンロードできるところもあります。
一方、火災による被害の場合は、消防署から申請書類を取り寄せて、消防署に対して申請を行います。
申請書類は各自治体のホームページからダウンロードできるところもあります。
被害状況の調査
全壊や大規模半壊のような重大な損壊の場合、まず調査員(市町村の職員等)が被害認定を行うための調査日の日程調整を行います。
調査員が損害程度を確認し、調査員が持参する申請書に記名、押印すると申請から2~3週間程度で自宅に郵送されます。
しかしながら、この入手時間は、通常の場合であり、大地震が発生すると、調査員の数が不足し、入手期間は数か月になると想定されます。
この為、必ず被害状況を写真に撮っておいて下さい。
被害状況の調査が数か月後にもなった場合、生活の為にも住家を修復しなければならい事態も発生します。
その場合、正しい被害状況の判定が行われない可能性もあります。写真に撮って記録を残しておくことが大切です。
被害状況の写真の撮り方
- 損傷のあった箇所をできるだけ、多くの方向から写真をとります。最低でも上下左右の方向から撮っておきます。
- 建物の傾斜は被害認定の重要な要素になっています。壁や柱に傾斜がある場合は必ず写真を撮っておきます。その際、重りを付けた糸を垂らし、定規と一緒に写真をとることで傾きの度合いが判ります。
- 壁の被害も被害認定の重要な要素です。壁の亀裂やはがれた状態を写真に撮っておきます。面倒がらずにすべての小さな亀裂も写真に残しておきましょう。
- 屋根瓦のずれや落下があれば、写真に残しておきましょう可能であれば、少し離れた高い位置から屋根を含めた全体写真を撮っておきましょう
- 地震の揺れによって壁と基礎部分に隙間ができることがよくあります。このような基礎部分に発生した隙間も写真に残しておきます。
罹災証明書の交付
調査員による被害状況の認定が完了すると、罹災証明書が交付されます。この罹災証明書をもって各種支援金等の申請が可能となります。
認定の結果に不服がある場合は、再調査を依頼することができます。しかしながら、再調査を申請しても必ずしも再調査が行われるとは限りません。
再調査の申請があった場合、自治体においてその調査内容を確認して必要があれば再調査が行われます。
大規模災害が発生した場合、罹災証明書の交付までに数か月を要することが想定されます。
その間に支援金等を受け取りたい場合、「罹災届出証明書」を罹災証明書の代わりに使用することができる場合もあります。
罹災届出証明書とは、正式に罹災証明書が発行されるまでの期間、罹災証明書の代わりとなる証明書です。
罹災届出証明書は、罹災証明書の申請をすればその日にすぐに発行してもらえます。
罹災証明書は賃貸マンション・アパートの賃借人でも申請できます。
賃借している不動産が被災した場合、賃借人でも「罹災証明書」の申請ができます。 特に「全壊」「大規模半壊」の場合は、義援金や見舞金の他、「被災者生活再建支援法」に基づく支援金の給付を受け取ることができる場合があります。 住んでいる賃貸マンション・借家に被害を受けた場合は、「罹災証明書」の申請を行いましょう。
罹災届出証明書
罹災届出証明書とは、正式に罹災証明書が発行されるまでの期間、罹災証明書の代わりとなる証明書です。
罹災届出証明書を罹災証明書の代わりに利用出来る場合があります。
罹災届出証明書は、罹災証明書の申請をすればその日にすぐに発行してもらえるので、罹災証明書の申請と同時に発行してもらいましょう。
罹災届出証明書で援金などの公的支援が受けられる場合もあるので、罹災証明書が発行されるまで出来るだけ活用しましょう。
被災証明書
罹災証明書は住居(不動産)に対する被害やその被害の程度を証明するのに対して、被災証明書は被害にあった動産(車や家財)が被害を受けたことを証明するものです。
但し被災証明書は災害によって被害を受けたことを照明するだけのものでその程度の証明は含まれていません。
この為、罹災証明書と違って、被災証明書で受けれる支援は少なくなります(東日本大震災では被災証明書で高速道路が無料になりました)。
被災証明書は、申請すればその日に発行してもらえますが、自治体によっては被災証明書を発行しないところもあります
その場合、罹災証明書が被災証明書の役割も兼ねることが普通です。